「最近、おでこが広くなってきた」
「頭頂部が薄くなっている気がする」
「昔に比べて髪が弱々しくなってきた」
年齢を重ねていくうちに、上記のような悩みが出てくる方は非常に多いのではないでしょうか。
実はこのような症状は「壮年性脱毛症」の兆候の可能性があります。壮年性脱毛症は、男性の3人にひとりが悩まされているといわれていますが、しっかりと対策を行えば予防は可能です。
そこで今回は、壮年性脱毛症の原因やメカニズムをわかりやすく解説していきます。今日から簡単にできる対応策も紹介しているので、生え際や頭頂部の髪が気になる方はぜひ参考にしてください。
壮年性脱毛症とは? 原因とメカニズムを解説!
「壮年性脱毛症」といわれても、どのような脱毛症なのか具体的にイメージするのは難しいでしょう。そこでこの項目では、壮年性脱毛症の特徴や原因、メカニズムについて解説します。
壮年性脱毛症は思春期以降に見られる脱毛症状
壮年性脱毛症は、生え際か頭頂部、もしくはその両方の髪が薄くなっていく人間の生理的な現象のひとつです。
一般的な日本人男性であれば、20歳代後半から抜け毛や軟毛化の症状が出始めます。その後、40歳以降になると脱毛の症状が見られやすくなります。ただ発症する年齢は、人種や性別によっても異なるため一概には言えません。
また、壮年性脱毛症は女性は更年期をすぎた時期から発症する可能性があります。男性だけの病気ではないので、女性も髪の状態に注意しておきましょう。
男性型脱毛症との違いとは?
壮年性脱毛症と名前が似ている脱毛症に「男性型脱毛症(AGA)」があります。
実は、壮年性脱毛症と男性型脱毛症(AGA)は同じものです。男性が壮年性脱毛症を発症した場合に「男性型脱毛症(AGA)」と呼び、女性が発症した場合は「女性型脱毛症(FAGA)」と呼ばれています。
つまり、壮年性脱毛症とAGA・FAGAに違いはないので、原因やメカニズム、対処法も同じになります。
なぜ発症するの? 壮年性脱毛症の原因とは?
壮年性脱毛症の原因は、大きく3つあります。
- 男性ホルモン
- 食生活
- ストレス
まずはそれぞれの原因によりどのような影響があるのか理解して、抜け毛や薄毛の予防を行っていきましょう。
1. 男性ホルモンの影響|軟毛化現象
1つ目の原因は、男性ホルモンです。詳しいメカニズムは後述していますが、男性ホルモンには髭やすね毛などを濃くする成分が含まれています。
しかし、頭皮にある毛根の細胞と結びついた場合は、軟毛化や脱毛などの悪い影響を与えてしまうのです。軟毛化とは、髪の毛質がやわらかくなったり、毛が細くなってしまう症状。つまり、男性ホルモンによって髪が徐々に弱っていくのが軟毛化です。
軟毛化により髪が細くなるため、髪の隙間から頭皮が見え、薄毛になったように感じてしまいます。
2. 食生活|栄養バランスの偏りなど
2つ目は、食生活の乱れが原因になる場合があります。肉だけ、野菜だけなど食事が偏っていると栄養バランスが崩れます。栄養バランスがひとつに偏ると、髪の成長に必要なタンパク質や亜鉛などの成分が不足。その結果、軟毛化や抜け毛などが発症しやすくなります。
とくに、外食やコンビニ食、ファーストフードばかりを食べている方は、栄養バランスが偏りがちなので注意が必要です。
3. ストレスの多い生活|自律神経のバランスが崩れる
壮年性脱毛症は、日々のストレスも大きく影響します。人間は、過度なストレスがかかると自律神経が乱れやすくなります。自律神経とは、体の外や内からくる刺激に対して、体温や血行、消化機能などを無意識に調整するためのものです。
この自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2つで成り立っています。
- 交感神経:全身の血管や臓器に影響を与える
- 副交感神経:膀胱や胃などに影響を与える
それぞれのバランスが非常に重要ですが、過度なストレスがかかるとどちらかが優位な状態になります。とくに交感神経が優位になった場合、血行を悪くしたり、臓器の働きの低下などを引き起こす可能性が高いです。
血流が悪くなると、髪に必要な栄養素を頭皮まで運べません。成長に必要な栄養素が不足するため、軟毛化や抜け毛が増えて壮年性脱毛症が進行します。
壮年性脱毛症のメカニズムを解説!
さまざまな要因によって引き起こされる壮年性脱毛症のメカニズムについて説明していきましょう。
通常、体毛にはヘアサイクルと呼ばれる毛が生え変わる周期があり、大きく3つの期間に分けられます。
- 成長期:髪が長く太く成長する期間
- 後退期:成長を止め毛根が弱くなっていく期間
- 休止期:成長が完全に止まり毛が生え変わる期間
この中の成長期は、太くて強い髪を生えさせるために重要な期間です。正常な状態であれば、成長期は約2年~6年の期間があります。
しかし、壮年性脱毛症になると成長期が数ヶ月~1年ほどと短くなります。成長期が短いので、髪の成長に必要な栄養素や期間が足りません。その結果、前頭部や頭頂部の髪が弱々しくなったり、短い髪が生えてきたりする脱毛症になります。
では、なぜヘアサイクルが乱されるのでしょうか。
実は、男性ホルモンには「テストステロン」と呼ばれる筋肉や骨格の成長を手助けする成分があります。テストステロンが、頭皮の毛乳頭細胞にある「5α-リダクターゼ」と結びつくと、「ジヒドロテストステロン」と呼ばれるホルモンが生成されます。
ジヒドロテストステロンは、毛乳頭の内部にある「アンドロゲンレセプター」と結びついてしまうと、脱毛を促すシグナル因子「TGF-β」を生み出します。
このシグナルが、生え際や頭頂部の毛のヘアサイクルを乱すことになるのです。
壮年性脱毛症の診断基準とは?|医師の診断が必要
壮年性脱毛症は、医師による問診や触診、視診などで判断します。とくに、現在生え際がどれくらい後退しているのか、頭頂部の毛の細さや短さ、家族で薄毛の人がいないかなどは重要な判断材料です。
何か気になる症状がある場合は、自分で判断せず、まずはお近くのクリニックを受診するのがおすすめです。
薄毛・抜け毛を防ごう! 今日からできる4つの改善方法を紹介
ここでは、今日からできる4つの予防・改善方法をご紹介します。髪の悩みがある方は、すぐに実践することで、壮年性脱毛症の予防につなげられます。
1. 生活習慣|バランスの良い食事と良質な睡眠をとろう
生活習慣を見直して、バランスのいい食事や質の高い睡眠をとることは、薄毛や抜け毛の予防につながります。
たとえば、髪の主成分であるタンパク質を多く摂取するには肉や魚、ビタミン類を取るためには野菜や果物がおすすめです。亜鉛も必要な栄養素なので、レバーや海藻類などから積極的に摂取しましょう。
それぞれの食べ物をバランスよく食べることで、食生活の改善ができます。
また睡眠不足になると、ホルモンバランスが崩れたり、自律神経が乱れたりする可能性があります。
質の高い睡眠をとるために、就寝前にコーヒーやエナジードリンクなど、カフェインの入っている飲み物を飲まない。寝る1時間~2時間前から、スマートフォンやパソコンなどの電子機器を見ないといった対策を行いましょう。
喫煙は控えめに
喫煙を控えることも抜け毛や薄毛の予防につながります。
喫煙は、頭皮の血行を悪くしていきます。血行が悪くなると、髪の成長に必要な栄養素が届きにくくなるため、毛が抜けやすくなったり、弱々しい髪が生えてきやすくなります。体にも悪い影響を与えるので、薄毛や抜け毛が気になる方は控えるのがおすすめです。
2. ヘアケア|頭皮と髪に負担を掛けない洗い方をしよう
壮年性脱毛症の予防として、ヘアケア方法を見直すことも大切です。頭皮環境を整えることでフケや皮脂がたまるのを防げるため、抜け毛の予防になります。
頭皮と髪に負担をかけない洗い方は、以下の手順で行うのがおすすめです。
- 頭皮をしっかりと濡らす
- 頭皮全体を指の腹で動かしながら洗う
- シャンプーなどが残らないよう丁寧にすすぐ
- 優しくタオルドライ
上記4つのポイントを抑えて頭を洗い、抜け毛や薄毛の予防を意識していきましょう。
育毛剤・発毛剤を利用する
ヘアケアの一貫として、育毛剤・発毛剤を使用して改善する方法もあります。育毛剤や発毛剤に含まれている有用成分により頭皮環境を整えることで、抜け毛や薄毛の予防につなげることが可能です。
育毛剤は、近くのドラッグストアやネット通販などで購入できます。ただ発毛剤に関しては、基本的に壮年性脱毛症を対象にした商品であり「医薬品」の部類です。そのため、クリニックで受診をしてから購入するのがおすすめです。
3. ストレスケア|発散できる時間を作ろう
ストレスも抜け毛や薄毛に悪い影響を与えます。そのため、日頃からストレスを発散できる時間を作りましょう。
ストレスの多い生活は、髪だけでなく体にも悪い影響を及ぼします。発散方法は人それぞれなので、まずは自分が好きなものを見つけて発散できるようにしましょう。
4. クリニック|治療の前にまずは相談してみよう
薄毛や抜け毛が気になる方は、まずはクリニックに相談するのもおすすめです。脱毛症にもさまざまな種類があるため、自分の症状についてあまりわからない方はクリニックで判断してもらいましょう。
専門家があなたの状態をみて、状態に適した対策方法や内服薬などを提供してくれます。
できることから取り組んで健康な頭皮と髪を維持しよう!
今回は、壮年性脱毛症の原因やメカニズム、改善方法について解説しました。
男性は思春期以降、女性は更年期後に発症しやすいため、できるだけはやく対策を行うことが大切です。ヘアケア方法や育毛剤・発毛剤などを使い、抜け毛や薄毛の予防を実践していきましょう。